パンの歴史と小麦

パンの歴史と小麦

日本のパンの始まりは、1842年4月。
伊豆の代官が長崎の料理人に焼かせたのが一歩。

鹿児島とゆかりの深いザビエル(鹿児島市照国町)

日本に初めてパンが伝えられたのは、16世紀の中頃です。ポルトガル人が日本に漂着したときにパンという食物の存在が知らされたのです。その後、1549年にキリスト教を広めにやってきたフランシスコザビエルが日本でパン作りを始めましたが、本格的に作られるようになったのは1842年4月頃と記録されています。今の静岡県の伊豆に住んでいた代官、江川太郎左衛門が長崎の料理人を呼び寄せてパン窯を作らせたのが大きな第一歩とされています。

毎年、4月12日は「パンの日」になっています。
代官江川太郎左衛門が、伊豆韮山の自宅で兵食用としてパンを焼いたのが天保13年(1842)4月12日といわれてます。
この記念すべき日にちなみ、全国のパン屋さんでは毎月12日を「パンの日」と決めました。

楽しく食べてうまいぞ 県産・国産小麦パン!!

食の安全を求める声や、食料自給率を高める必要があることから、県産・国産小麦で作ったパンを育ち盛りの子ども達に提供したい。そんな思いから、鹿児島県パン工業共同組合は「楽しく食べてうまいぞ県産・国産小麦パン!!」を合言葉に「ふるさと生まれのパン」を知ってもらう、食べてもらう活動に取り組んでいます。

先進国の中でも低い食料自給率

輸出国への依存から抜け出そう
国内で使用されているパンの原料となる小麦の多くは、外国からの輸入に頼っています。小麦全体の食料自給率は約11%。そのうち、パン用小麦の生産はわずか3%という低い数値です。その主な原因は、日本の気候が強力小麦(パンづくりに適した小麦)の栽培に適さないためです。高温多湿の気候は、小麦のもっとも苦手とする生育環境なのです。もし、輸出国で悪天候による凶作が続いた場合、輸入量が制限されたり、価格が暴騰したりして、皆さんの好きなパンの流通が激減してしまう恐れがあるのです。そうならないように、外国に頼ってばかりではなく、日本でもちゃんと小麦を育て、いつでも安心・安全なパンが食べられるようにしようという「自給率向上」の動きを高める必要があるのです。鹿児島県産小麦を使ったパンをまずは学校給食から広めて、消費を盛り上げていこうとする活動が大きな狙いなのです。

日本の気候に適した小麦の新種が続々!

皆さんが普段から食べているパン。そのパンの原料である「小麦」はもともと乾燥地帯が原産のもので、アメリカ・カナダなどの外国から輸入しています。パン作りにピッタリの小麦が、日本の高温多湿の気候では育ちにくいのが理由です。しかし、多くの大人たちの長年の研究により、九州でもたくましく育つ「ミナミノカオリ」という品種の小麦を開発。これは、世界各地のパン用の冬小麦から優れた特性を持つ超強力小麦品種を探し、交配を試みたことが功を奏し、品種化につながったのです。鹿児島県では、「さつま町」や「指宿市」、「伊佐市」などの農家の人たちが、一生懸命に作っています。県産小麦のパンの消費が増えることは、小麦の生産量の増大につながること。同じ食べるなら「地元生まれのパン」という意識を持ってもらえたらうれしいです。

鹿児島県産小麦「ミナミノカオリ」など国産の小麦は、秋にタネを まいて、蒸し暑くなる前の6月に収穫。栽培期間は約8ヶ月です。

鹿児島県産小麦粉「さつまの恵」とは?

国産パン用小麦は主に北海道で栽培されてきましたが、温暖な九州地方でもしっかりと育つように品種改良を重ねて生まれたのが「ミナミノカオリ」です。鹿児島県産小麦粉の「さつまの恵」は、この品種を使用した独自の産地識別用のブランド名称なのです。おいしいパンづくりに適した九州産小麦として、2004年に奨励品種として採用されました。ソフトでしっとりとしたボリュームのあるパンに焼き上がるのが特長です。噛みしめるほどに、豊かな味わいが広がる。もちもちした食感も美味しさをひときわ高めてくれる「さつまの恵」を使用したパン。そんな純国産小麦パンの人気が広がって欲しいと、多くの生産者が願っているのです。

日本人の嗜好に合うパン

現在使われているパン用の国産小麦は上質のタンパク質が多く含まれているために、小麦粉に水を加えてこねたときにできるグルテンが、これまでの国産小麦(強力粉)にくらべて上質なために、ふっくら、もっちりとしたおいしいパンができるようになりました。鹿児島の農家のひとが、愛情をこめてそだてた小麦ですから、安心して食べられます。そんな上質なタンパクをたっぷり含んだ小麦だからおいしいパンができる。そして、そんな小麦が鹿児島県でも栽培されていることを覚えておこうね!

グルテンとは
小麦粉の中にタンパク質が含まれていてその約85%がグリアジニンとグルテニンと呼ばれるものでできていて両方ともほぼ同量である。小麦粉に水を加え捏ねる事によりこのグリアジニンとグルテニンが結びつきグルテンになる。パン生地などが発酵した時に気泡が残るのも生地がグルテンによって粘りをもつようになるためです。